検査が増えれば精度は上がる?
「How to 健康管理」2000年9月号より
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一般に、定期健康診断よりは成人病検診、成人病検診よりは人間ドックのほうが、検査頃目が多くなります。
検査項目が増えることによって、通常健康診断としての精度が上がると期待されます。たとえば、空腹時血糖もグリコヘモグロビンも正常な段階では、糖負荷試験を行ってはじめて糖尿病状態とわかる場合があります。しかし、糖負荷試験は多くは一泊ドック以上のランクの健康診断のみで行われます。この場合は検査項目が増えたことで見逃しが滅り、間違って診断することも少ないので、検査が増えて精度が上がったわけです。
しかし、検査項目が増えてもあまり精度が上がらない場合もあります。たとえば、喀痰細胞診を追加しても、手術可能な肺がんはあまり見つけられません。この検査で悪性細胞が出ればまず間違いなくがんですから、特異性*1は十分なのですが、発見率が低く、健康診断としての精度にはあまり寄与しないと思われます。
また、アミラーゼやLDHのように膵臓や肝臓の検査として入っているにもかかわらず、個人差やほかの疾患が原因で異常値が出やすい検査では、目的臓器に異常がなくても二次検査に回ることも多く、同様に健康診断としての精度には寄与が少ないと思われます。この場合は、特異性に問題があるわけです(もちろん、これらの検査でほかの病気が見つかることがありますから、無意味という訳ではありません。要は活用の仕方と考えています)。
検査項目が多いほど単純に健康診断としての精度がよくなるとは限らないので、目的を考えて健康診断を選ぶ必要ありと考えます。
(以上、「How to 健康管理」平成12年9月号初出、原文のまま)