総合判定のランク
「How to 健康管理」2000年4月号より
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この連載では、各種の健康診断の結果通知を見るうえで、落とし穴になりやすい注意点を取り上げていきます。
成人病検診、人間ドックなど、いくつもの検査を行う健康診断の結果表には「総合判定」の欄があります。常識的には、総合判定が「要治療」の人のほうが「要経過観察」の人よりは健康度が悪いと考えてしまいます。しかし、必ずしもこれが成り立たない場合があります。
多くの施設では、健康診断の「総合判定」は、個々の検査あるいは器官系ごとの判定のなかで最も重い判定を選んでつけられています。その人の健康度の平均点ではありません。具体的な例をあげてみます。Aさんは喫煙者であるうえに、BMI、血圧、総コレステロール、中性脂肪、血糖、尿酸など生活習慣病関連項目でことごとく「要経過観察」の判定でした。Bさんは白内障のため「要治療」とされましたが、喫煙もしませんし、ほかの項目には異常がありませんでした。
この例の場合、Aさんの総合判定は「要経過観察」、Bさんの総合判定は「要治療」になってしまう施設が多いようです。しかし、将来の虚血性心疾患の発症リスクからいうとAさんのほうが心配な状態です。
これは少々極端な例ですが、総合判定が「要治療」の人より「要経過観察」の人のほうが憂慮すべき場合があることに注意してください。とくに生活習慣病関連項目がことごとく要注意レベルの場合は警戒が必要でしょう。
(以上、「How to 健康管理」平成12年4月号初出、原文のまま)