楓葉作曲講座(第5回)
短い楽節をまとめて一つの曲にする
はじめに
このページでは講座の第5回(最終回)として、短い楽節をまとめて一つの曲にする方法について解説します。
まずは前回の課題から
まずは前回の課題からいきます。図1は課題1に対する筆者の回答例です。伴奏にはアルベルティ・バスっぽいものを使ってみました。
図2は課題2に対する筆者の回答例です。伴奏はいわゆる白玉で音を伸ばしたものを使いました。
二つの曲で感じが違うのはわざとそうしたものです。その理由は後で分かると思います。
楽節とその並べ方(楽式)について
今まで練習してきたような8小節ごとのまとまりを楽節といいます。別に8小節である必要はないのですが、古くから8小節のものが正式とされています。この楽節を幾つか並べて曲にするのですが、その並べ方にも定石があり、その形式を楽式といいます。楽式には色々なものがあり、ここでは紹介し切れませんが、単純なものをいくつか紹介します。
一部形式
一個の楽節で一曲をなすもの。先ほどの課題も単独で一部形式の曲といえます。
二部形式
二個の楽節をそれぞれA、Bとするとき、A-Bとつないで一曲をなすもの。AとBが余り違うとまとまらないので、Aと良く似た楽節A’を持って来て、A-A’の形にすることが多い。
三部形式
三個の楽節をならべて一曲とする形式。三つの楽節が全部異質であるA-B-Cの形でも構わないが、二つの楽節A、BをA-B-Aのように配置したものが多い。AとBが多少異質であっても良くまとまるので、古来から良く使われた形式。この場合、中間部で転調するのが定石。
先ほどの課題をまとめて一曲に
ここでも三部形式を使うことにします。図3は課題1-課題2-課題1の順に配置した譜例です。スペース節約のために反復記号を使いました。
課題2でト長調を指定したのは、中間部で転調するという含みがあってのことです。前の調でV7→Iの流れがあるので、そのままですんなり転調出来ます。中間部から戻るときの転調も同様です。
如何でしたでしょうか。ここまで出来れば、一つの曲を作曲したと言っても良いでしょう。単なる音並べかも知れませんが、作曲は難しそうで……、とおっしゃっている方は一度試してみてください。きっと楽しめると思います。