世間では、丙午(ひのえうま)という十干十二支(以後干支=かんし)の年に生まれた女性は強いからどうこうとか言ったりしています。また、江戸時代には丙午の年は火事が多い、などと言ったりしたみたいです。八百屋お七まで実際にはそうではないのに丙午生まれにされてしまったくらいです。 確かに陰陽五行説から見れば、丙は陽の火、午も火で揃っています。ですから、東洋系の占術では丙午の年や月はともかく、丙午の日の生まれは強いと言うのですが、それなら丁巳(ひのとみ)や壬子(みずのえね)はどうなのでしょう。丁は陰の火で灯火を表すそうです。巳も火で、丁巳は火が二つ重なる干支ですが、別に一般人は特別扱いしてません。壬は陽の水、子も水で、壬子は水が二つ重なります。しかし、壬子の年、月、日に洪水が多いなどと言う話は聞いたことがありません。
四柱推命や算命学でもやっている人は別でしょうが、同じ五行が重なった干支だからと言って、丙午以外の干支は世間から特別視されることはないようです。陰陽五行説を信じるのなら、丁巳、壬子生まれだって相当強い生まれになりそうなものですが、何も言われることはありません。丙午だけ取り上げて人口構成を歪ませるほどのバースコントロールを行うのは、どう考えても不合理だと思うのですが。
第一、陰陽五行に互いに他のものでないという以上の個性があるのでしょうか。その筋の人が比和、相生、相剋と呼んでいる相互関係がある可能性は否定しませんが、火が強いから気性が激しい、というのは(仮に陰陽五行説を受け入れたとしても)どこか違うように思います。