2005年1月1日から、はてなのサービスの利用には住所の登録が必要となった。そのため、2004年11月1日より同年12月31日までの間に正しい住所を登録し、あわせて正しい生年月日、性別、氏名を登録するように求められている(はてなへの住所登録の義務化撤回について – はてなの告知 (hatenastaff.com)参照)。個人的にはついに来るべきものが来たか、と言う感想しかない。はてな自体、全てがバーチャルで成り立つような規模ではなくなっているし、インターネットは現実社会に対するアンチテーゼでもなければユートピアでもなく、現実社会に従属するツールになってしまっている。表向きの理由*1はどうあれ、今回の事態には警察の意向が入っているような感じがする(単なる憶測)。
しかし、警察の意向が入っていようがいなかろうが、ネットワーク上であっても現実社会と同じルールを受け入れなくてはならない。すなわち、身元を明らかにしない発言は信用されない、という原則である。もう一つは、身元が割れていることを前提に発言しなくてはいけない、という原則である。
つまり、自分の住所氏名が割れたら困るようなことはネット上と言えどもやたらに言ってはいけないし、問題になりそうなことを言う時は住所氏名はどうやっても割れるものだという覚悟で言わなくてはならない。住所など、市役所か警察に問い合わせれば簡単にばれてしまうのが現実である。これまで全ページのアドレス欄に実名とメールアドレスを記載してきたのもそのためであり、自分から進んで公表するかどうかは別として住所を秘匿するつもりが無いのもそのためである。
実際のところ、住所氏名を明らかにしたために、自分が柏木楓萌えである、葉鍵板にかつて出入りしていた、といったネット上で明らかにした事実が仮にリアルでの人格と結び付けられても、たいしたリスクになるわけではない。実害と言う点から見れば、はてなから住所が漏洩する将来の可能性よりも、同級生が名簿屋に同窓会名簿を売り渡す場合(実際にやられた)の方がはるかに大きい。
なお、さらに追加するならば、ネット上といえども、やろうと思えば仮想人格とリアルの人格との対応はつけられるものであり、完全に仮想の人格など存在し得ない、だからこそ逮捕されるべきものは逮捕されているのだと思っている。
そういうわけで、メールアドレスとIPアドレス以外の身元(住所、氏名、性別、生年月日)を明らかにせよ、という今回のはてなの要求に反対する理由は私には存在しない。そのような訳で、私としては郵便物が正しく届く住所を提供する用意があり、事実それをすでに登録した。
もちろん、あくまでも以上述べたことは私の場合であって、他の人がどうするかは全く別の問題である。私には住所氏名を明らかにすると言うリスクを取ってでもここで発言したいことがあるが、そうでない人の方が多いであろうからである。
*1 はてな側の背景説明がid:jkondo:20041102にある。「情報発信者の権利を守る」ためと言っているのが分かりにくいが、はてなに好意的に解釈すれば以下のようなことになるだろう。情報発信者の住所をあらかじめ知っていて、「はてな」の有する情報が対称になれば、「はてな」が両者の間に入ることに説得力が出て来る。ユーザーが直接矢面に立たないようにし、かつ一方的な削除=アカウント抹消以外の対応も可能になり、結果として「情報発信者の権利を守る」ことになるのかもしれない。したがって、これはあながち詭弁とはいえないと思う。決して「はてな」がユーザー情報を一方的に申し立て人に渡して責任逃れするための処置ではないと強く願う。もしそのようなことがあれば「はてな」は無責任の謗りを免れ得ない。