2012年8月3日付日経ビジネスオンライン「日韓関係はこれからどんどん悪くなる」に曰く、
潜在的覇権国が台頭する際、その周りの国には選択肢が2つあります。ひとつは同盟を作って皆で潜在的覇権国を牽制する。もうひとつは自分だけは潜在的覇権国に敵対せず、その脅威を別の国に向かわせる。“悪い子”つまり「バック・キャッチャー」を作って自分だけは“いい子”になる手です。韓国は後者の道を選択し生き残りを図るつもりと思われます。
日経ビジネスオンライン「日韓関係はこれからどんどん悪くなる」 より
とある。
まさに現在の韓国の国家戦略はこの線上にあるといえよう。反日こそ国是であり、反日こそ韓国が生き残るためのもっとも最善の戦略と考えている節がある。従って、覇権国家となった中国には露骨に擦り寄って事大し、米国に対しては日本が信用ならない国だと宣伝して日米離間を図り、ロシアに対しては自らが極東開発に参入して日本をロシアにとって「いらない子」に仕立てている。ロシアが日本に強硬な態度が取れるようになったのは、中露関係が安定しているのと、民主党政権が足元を見られているからとの見方が一般的だが、韓国がロシアに浸透したために極東開発に日本の協力が必要なくなったというのもかなり大きいと思われる。
韓国のこうした行動は日本を全力で潰しにかかっているとしか思えないほどで、韓国から見て北朝鮮はもはや敵ではなく、日本が唯一の仮想敵国になったかのように見えるほどだ。
その背景には、少子高齢化で国力が低下し、それなのに政治が混迷しTPP参加すら迅速に決断できない(東南アジアでは日本のTPP参加を熱望している国があるというのに!)日本が、韓国からは「水に落ちた犬」にしか見えない状況があろう。韓国にとっては日本の相対的地位は低下する一方で、「いらない子」どころか、「力を失っているくせに、偉そうに中国と問題を起こして回っているから居ない方がいい」存在にしか見えていないようだ。叩きやすいことこの上ない。
しかし、少子高齢化による国力の衰退はあと数年もすれば韓国にとっても人事ではない。韓国の少子高齢化の速度は、同様に少子化に悩む日本やロシアなどと比べても、比較にならないほど速い(参考:2012年8月9日付日経ビジネスオンライン「少子高齢化の韓国、ついに日本型デフレ突入か」)。日本にとってはあと5年も我慢すれば相当状況が変わってくるはずだ。そのうちに中露関係が再び悪化してロシアが2000年ごろのように日本に秋波を送ってくる日が来るかもしれない。そうなったら日本にもチャンスが生まれてくる。
しかし、今後暫くは日本にとって中国、韓国、ロシアからの圧力を一手に余儀なく引き受けざるを得ない、一番つらい時期になるであろう。それを耐える鍵になるのはやはり経済力と軍事力であり、庶民の生活など度外視で国力の維持増進に努めなければならない。もはや消費税増税分を社会福祉に使ったり、原発を止めている場合ではなくなってしまった。
対立する相手国であるロシアや韓国の経済政策でさえ、参考にすべきところは参考にすべきである。所得税の税率のフラット化とか、露骨な大企業優遇など、日本でも肯定的に考えなくてはならないだろう。富国強兵という言葉があるが、強兵はともかく、富国は今の地球上では今なお国家存続の必要条件である。国家が存続できなくては庶民の生活などあったものではない。したがって、小沢新党のように「国民の生活が第一」などと言っている場合ではないのである。