やはり安倍総理の靖国参拝は対外的には不安要因にしか思えない

昨年の年末に靖国神社参拝を強行した安倍総理大臣だが、対外的には百害あって一利なしとの評価にならざるを得ないと思う。こういうことを言うと、左翼であるとか、アメポチと言う評価をされてしまいかねないのだが、親日的勢力、中間的勢力、親中的勢力のいずれの勢力から見てもとても不味いことをやらかしたように思えて不安になる。

親日的勢力から見た場合
せっかく安倍政権になって集団的自衛権の行使容認、防衛力増強、憲法改正、印豪との軍事協力の機運と日本が力を発揮できる良い方向に向かって来たところであるのに、そしてせっかく日本の味方も増えていたのに、靖国参拝で中華人民共和国に軍備増強と対日包囲網構築の動機を与えてしまった。これはまさに敵に塩を送る行為で、安倍総理大臣の重大な失策である。敵を強くしてどうなるのか。今は対中開戦前夜にあることが分かっているのだろうか。これで日本は超特急で対中軍事力を整備しなければいけなくなってしまった。政治的信念を日本の国益に優先させてはいけない。
中間的勢力から見た場合
日本と中国とを比較した場合、今までは中国の膨張主義の方が危険だと評価されていたが、靖国神社参拝で日本は戦後レジームの総決算を目論んでいると見られてしまう。靖国参拝は第二次世界大戦後の政治体制を変革せんとする日本の方が危険という評価に変わる節目になりかねない。今までは中国が「出る杭」だったが、これでどっちもどっちになってしまった。これからは日中両天秤で行くしかない。
親中的勢力から見た場合
「総理大臣が靖国を参拝したことで分かる通り、日本は第二次世界大戦後の政治体制の転覆を狙っている」と宣伝すれば、米国の少なからぬ勢力と英独仏露はこちらの敵にはならない。軍事費の増強も挑発もやり易くなる。日本の失策のおかげでこちらは息を吹き返した。反日を口実に増強した軍事力で早く台湾を併合しよう。しめしめ。

……どの立場から見てもろくな未来ではない。安倍総理大臣は日本人としての誇りや英霊に対する敬意などのために戦略的優位を投げ捨て、対中開戦前夜になすべきことの優先順位を誤ったような気がしてならない。

今安倍政権がなすべきことは、富国強兵、軍事同盟の構築、諜報能力の強化といった、対中開戦が不可避との判断に基づく戦争に負けないための準備ではなかろうか。いくら安倍総理大臣が不戦の誓いをしたところで、対中開戦不可避との情勢判断はいささかも変わるところではない。ファンタジーはもう要らない。日本の総理大臣にはリアリストであって欲しい。

そして、保守の人たちが思うほど親日的勢力は多くなく、どちらかと言えば親中的な国や勢力もまだまだ多いことを忘れてはいけない。中国を舐めてはいけない。ASEANでもカンボジア、ラオス、タイはどちらかと言えば中国寄りと言われているし、西欧はスペイン以外は大体中国寄りのように見える。特に英独は反日国と言ってもいいくらいであるかのように見受けられる。米国も国務省はほぼ親中派と見てよいだろう。

やはり安倍総理の靖国参拝は対外的には不安要因にしか思えない。