神武天皇即位紀元はまだ有効

現在日本で用いられているのは太陽暦であり、旧暦からの変更は明治五年太政官布告第三百三十七号によりなされた。しかし、「こよみのページ」というサイトで指摘されている通り、この布告には重大な問題がある。「四歳毎ニ一日ノ閏ヲ置キ」としか書かれていないので、ユリウス暦と同じだけの誤差が出てしまうものだった。そこで、明治三十一年勅令第九十号が出されたのだが、何とこの勅令は現在でも有効な法令なのである。

全文を引用すると、

神武天皇即位紀元年数ノ四ヲ以テ整除シ得ヘキ年ヲ閏年トス但シ紀元年数ヨリ六百六十ヲ減シテ百ヲ以テ整除シ得ヘキモノノ中更ニ四ヲ以テ商ヲ整除シ得サル年ハ平年トス

明治三十一年勅令第九十号 より

神武天皇即位紀元から660を引いたものは西暦に他ならない。これが100で割り切れ、さらにその結果が4で割り切れない年は平年である、と言っているのだから、これでグレゴリオ暦に対応したことになる。明治31年は1898年だから、おそらく1900年問題に対応するために急遽出された勅令なのであろう。

それはいいのだが、これに代わる法令が出ていないことのほうが驚きである。何と、神武天皇即位紀元は現在でも法令的には有効なのである。

これからは皇紀2664年、という表記に目くじら立てるのは止めにしよう。

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