ロシアがウクライナに侵攻していることで、ロシアがほぼ全世界を敵に回した格好になっている。現在の国際法では戦争により領土を拡張しようとする試み自体が国際法違反というのが通念となっている。しかも、住宅地を爆撃するだけでは足りずに核恫喝まで行っている。それでも足りないのか、原発にまで爆弾を撃ち込み、その原発を占領することまでやってのけた。テロリストの所業と言わざるを得ない。
ロシアの大統領たるプーチンが狂人と化しているのではないかと全世界が恐怖に慄いているなか、ロシアに対する反感を行動に表す人も増えている。ロシア製ウォッカの不買、ロシア料理店の看板への攻撃などの話を耳にする昨今である。確かにロシア政府と軍の行動は全く弁解の余地もない国際法違反で、まさにテロリストの所業である。
そんな中、明石市の明石フィルハーモニー管弦楽団というアマオケが
初演奏を予定しておりました、チャイコフスキー/序曲「1812年」はロシアがウクライナに侵攻した世情を踏まえ、演奏を中止することとなりました。
明石フィルハーモニー管弦楽団公式サイトより
という決定をして論議を呼んだ。キャンセルカルチャーに負けた、という見方をして非難する者も少なくなかったようである。
筆者自身も昨今ロシアへの敵意が充満していることは感じていて、ロシア音楽を人前で聴くのには気が引けるものを感じていた。そのため、こうした見方に与する寸前までいった。また、チャイコフスキーの祖先の姓はウクライナにルーツを持つのだが、それが駄目となると? と困惑した。しかし、「1812年」という曲はロシアの勝利を祝う祝典序曲でしかも大砲をぶっ放す曲だから演奏家が嫌がるのも当然だ、という指摘もあった。
筆者はこの曲を実際に聴いたことがないので実際にYoutubeで聴いてみた。なるほど、これは曲想が問題になって楽団員が嫌がるのも当然、という曲だと感じた。正直言ってこういう曲だとキャンセルされても仕方がないというのが今の考えである。
もし、ショスタコーヴィチの交響曲第8番あたりが「ロシアの作曲家だから演目から削除」ということになったのなら、その時はキャンセルカルチャーの圧力がここまで来たか、と憂慮することになる。しかし、今のところロシアの作曲家だから排除、という動きはあまり起きていないようであり、過剰反応するのは止めておくことにした。