オーケストラ・ダスビダーニャ第28回定期演奏会

2022年2月11日、オーケストラ・ダスビダーニャの第28回定期演奏会がすみだトリフォニーホールで行われたので行ってきた。プログラムはショスタコーヴィチの交響曲第9番と第10番。演奏する団員の配置が密にならないように考慮した結果こうなったのだそうだ。昨年はCovid-19感染症に対する緊急事態宣言があったので定期演奏会が中止になっていたのだという。よって団員にとっては2年ぶりの演奏会である。

筆者にとってはこのオーケストラを生で聴くのは第14回定期演奏会以来なので、何と15年もご無沙汰していたことになる。新型コロナ感染症の第6波が大波になってしまい、開催が危ぶまれる中、この機を逃せば生のコンサートをいつ聴けるかが分からないので、思い切って錦糸町まで足を伸ばした。雪の影響で常磐線が朝方まで運休になってしまい、運転再開後の大幅なダイヤ乱れで果たして開演時刻に間に合うか心配したが、所要時間そのものは平常時とそうは変わらず、開演45分前に会場入りした。

ここの大ホールは初めてで、随分と音がピリつくような感じがしたが、演奏そのものは力のこもったイメージ通りのダスビだった。弦楽器に赤いマスクを付けている人が多いのは旧ソビエト連邦を意識したのだろうか。そして、どうでもいいことだが、スネアドラムはおじさんが叩くのが良く似合う楽器だと思った。このオーケストラの打楽器セクションは聴いていて楽しい。

そして、交響曲第10番を素直に聴けたのが今回の収穫だった。深読みしないで素直に聴くことが難しかった曲だが、今回はすんなり受け入れることが出来た。そして、アンコールは第2楽章のタイムアタック。指揮者が言うには4分を切れるかどうかが成否の境目、とのことだが、結果は3分39秒。こんなに速くても演奏が崩壊しないのが凄い。

新型コロナで色々と変わってしまった中、今回の演奏会は東京オリンピックと同じで、やってくれることそれ自体に意味があった。音楽は不急かも知れないが断じて不要ではない。不要不急の県境をまたぐ移動を戒める風潮が逆風になっているが、よくぞ開催してくれた。ありがとう。そう言いたい今回の定期演奏会だった。