中華人民共和国が日本への軍事的敵意を隠さなくなって久しいが、この国の軍事的膨張に対する防衛線を担っているのがインド-ベトナム-フィリピン-台湾-日本のラインであることはだれの目にも明らかだろう。そして、親中を隠そうとしない馬英九総統の台湾と翁長雄志知事の沖縄が対中防波堤ラインにおける最大の弱点であり、両者の行動の危なっかしさにはらはらとさせられることが極めて多かった。
それでも曲がりなりにも中華民国を標榜し続けようとした馬総統に比べ、「自己決定権」=「民族自決権」を掲げて琉球独立志向を国連の場で宣言した翁長知事の暴走になすすべもなく、県民の意思とは関係なく、琉球独立の方向に沖縄が持っていかれ、琉球独立が「オール沖縄」の名のもとに沖縄の公式イデオロギーとなっていくのを指を咥えて見ているしかないのは、とても恐怖感を伴うものだった。
自民党から社大党、共産党までもが連合した「オール沖縄」の名のもとに、「沖縄が日本ではない」と宣言したのが翁長知事の国連における「自己決定権」演説だった。それを聞いた時、琉球独立の後に来る光景として、沖縄を自由通行した中華人民共和国軍が米軍の補給路を断つべく台湾の東岸から艦砲射撃を花蓮などに仕掛ける未来を幻視してしまった。
しかし、台湾で蔡英文率いる民進党が勝利し、一昨日の宜野湾市長選挙で「オール沖縄」陣営が敗北した。やっと恐怖の負の連鎖が止まった。それまで「オール沖縄」陣営を勝たせてきた沖縄の政治・言論風土が怖くてたまらなかったのだが、沖縄にも「オール沖縄」にノーを突きつける自由があったことが分かって大変に嬉しい。今までの沖縄は「反戦無罪」とばかりに左翼陣営がやりたい放題だったが、これをきっかけに沖縄が普通の県になって欲しいと切に願う。
その意味で、宜野湾市長選挙の結果を無条件で歓迎する。