沖縄県知事がとうとう民族自決権を宣言してしまった

現職の沖縄県知事である翁長氏が日本時間2015年9月22日0時8分に国際連合人権理事会(United Nations Human Rights Council, UNHRC)の第30回定期会合で行ったスピーチの英文を見たところ、確かに、

Over the past seventy years, U.S. bases have caused many incidents, accidents, and environmental problems in Okinawa.

Our right to self-determination and human rights have been neglected.

翁長氏の国際連合人権理事会第30回定期会合におけるスピーチより

と明確に「民族自決権(self-determination)」という言葉を使っている。しかも、ご丁寧に、

Now, the Japanese government is about to go ahead with a new base construction at Henoko by reclaiming our beautiful ocean ignoring the people’s will expressed in all Okinawan elections last year.

翁長氏の国際連合人権理事会スピーチより

と自らのことを「沖縄人(Okinawan)」と規定している。

この民族自決権(self-determination)という用語は言い逃れの余地がない明確な概念を持つ言葉で、Wikipediaにもあるように、

民族自決(みんぞくじけつ、self-determination)とは、各民族集団が自らの意志に基づいて、その帰属や政治組織、政治的運命を決定し、他民族や他国家の干渉を認めないとする集団的権利。 自決権ともいう。

Wikipediaより

本来の意味は植民地人民の独立の権利であり、国家内部の先住民・少数民族にも自決権が及ぶかどうかは議論の余地があるが、この用語を持ち出すことによって、沖縄県知事は、

  1. 沖縄県民は独立した民族である。
  2. 沖縄県民はこの地域の先住民族である。
  3. 沖縄県は日本国の植民地である。
  4. 沖縄県には日本国から独立する権利がある。

ということを世界に向かって宣言したことになる。

そして、今のところ県知事の行為に一件の行政訴訟も提起されておらず、一切リコール運動も起きてないことから、少なからぬ沖縄県民は県知事のこの宣言を容認していると見做すしかない。

2015年9月22日は沖縄県が「普天間基地の移設問題は、日本政府と沖縄県との協議の対象ではなく、『支配民族』と『先住民族』との闘争の対象である」と宣言した日として記憶に残さざるを得ない。

しかし、民族自決権の濫用が悲惨な結果をもたらしてきたのが世界の歴史である。独立の成功例は非常に少ない。沖縄県知事は沖縄の未来に対して責任を取れるのだろうか。

もし単なるブラフとして民族自決権(self-determination)と言ったのであれば、余りに無責任な話である。