日本は「低生産性をドル換算した低賃金で補い、主として安値で輸出競争力を維持」している情けない国なのか?

WEDGE Infinityの2014年11月27日付け記事「120円近い円安は本当に円安なのか 為替相場に一喜一憂しない付加価値と生産性を実現せよ」に次のような一節がある。曰く、

逆に、円安が望ましいとしても、それが日本として低生産性をドル換算した低賃金で補い、主として安値で輸出競争力を維持することを意味しているようでは先進国として情けない。ちなみに、日本の一人当たり給与・報酬額(雇用者報酬)は、ドル換算で2012年にはアメリカの8割強あったが、2013年分を120円でドル換算すると5割強に低下し、イタリア、スペインより低くなる(図表6)。

WEDGE Infinity「120円近い円安は本当に円安なのか 為替相場に一喜一憂しない付加価値と生産性を実現せよ」 より

この記事によると、購買力平価は1ドル=130円くらいらしいので、日本の勤労者は決して豊かではなく、ひょっとしたら東欧諸国よりちょっとまし、という程度でしかないということになってしまう。

どうしてこうなった、と言いたいところだが、日本企業がこの記事の筆者の言うところの「低生産性をドル換算した低賃金で補い、主として安値で輸出競争力を維持」するやり方に頼りきってしまっているからだろう。

筆者の言う、

大事なことは、円安円高に一喜一憂するのではなく、産業競争力をつけることにある。それは、もっと付加価値がつくようにイノベーションを推進し、生産性を上げて円安でなくても産業競争力が発揮できるようにすることである。そして、このことは賃金増で輸入物価上昇に打ち勝つ家計購買力の向上が実現することに他ならない。

WEDGE Infinity「120円近い円安は本当に円安なのか 為替相場に一喜一憂しない付加価値と生産性を実現せよ」 より

ことが喫緊の課題なのは間違いないが、今の日本企業にはその意思も能力もなく、長期的衰退を賃下げでやり過ごして自分の世代を逃げ切るのが最適解だと信じているようにしか見えない。

そのうち、サッチャリズム以前の大英帝国のように、自虐的に「世界には『先進国』『発展途上国』の他に『退歩国』というカテゴリーがあって、日本がそれのリーダーになる」などと言うようになる気がしてならない。