WEDGE Infinityの2014年6月25日付記事「南シナ海における中越対立 ベトナム国内への波紋 デモをガス抜きに利用」には
中国経済の長期持続的な高度成長を、あれよ、あれよと見ているうちに、それで達成された、国際政治における中国の影響力は、押しも押されもしないものになってしまったように思われます。それは、東南アジア、台湾、豪州だけでなく、欧米でも政治的影響力と化している感があります。
WEDGE Infinity「南シナ海における中越対立 ベトナム国内への波紋 デモをガス抜きに利用」より
とあり、中華人民共和国の政治・経済的影響力が手に負えないほど強くなっていることが指摘されている。
また、日経ビジネスオンラインの同年6月26日付記事「中国に“No”と言えない世界」にも同じような一節がある。曰く、
しかしながら、我々は中国に対して“No”と言えなくなっている。中国に“No”というための外交カードを持っていないのだ。この事態こそが昨今の国際社会が抱える最大の“チャイナ・リスク”であることを、我々は肝に銘じるべきであろう。
日経ビジネスオンライン「中国に“No”と言えない世界」より
世界中のどの国も、政治、経済分野では中華人民共和国に逆らえなくなっているように見える。人権問題にうるさくプライドの塊のはずのフランスでさえ、中華人民共和国に何も言えない悔しさに歯噛みしているという。英国はつい最近、中華人民共和国の首相の訪英に際し、屈辱的な対応を強いられた。中華人民共和国の人権状況をはじめ、文句を付けたいことは山ほどあるのだが、それをどの国も抗議を申し入れるに至らず、そうしてこの国は悠々とウイグル族やチベット族のような異民族を弾圧し放題にしている。
それでも、日本国やアメリカ合衆国は中華人民共和国に対し良く抵抗できている方だと思う。日本単独でも有事の際には東シナ海を1日かからずに海上封鎖できる準備が出来ていると聞いている。また、日本の潜水艦は世界一発見されにくく、どの国も攻撃できない世界一深い深度から魚雷が撃てるとも聞いた。
横暴を極める中華人民共和国に対抗する最後の拠り所は、結局比較優位にある軍事力ということになってしまっている。どうやら中華人民共和国を暴走させないための最後の砦となってしまった感のある日本の軍事力。それを担う自衛隊を全面的に支持したい。
そして、日米が東シナ海を抑えているゆえに、中華人民共和国の圧力を一身に受けることになりそうなベトナムを支援することは国際的な喫緊の課題となってしまった。これは単なる妄想だが、もしかすると、南シナ海で有事の際には、ロシアがベトナムに供与した潜水艦から発射するための魚雷をアメリカ経由で日本が提供するという局面が出てくるかもしれない。そうなったら日米露がベトナムを挟んで対中軍事協力ということになってしまう。
その先には、私のような旧世代には想像できないような未来が待っているのかもしれない。