川崎市で給食の食材に千葉・茨城産の野菜が含まれる件について

川崎市の発表で、5月の給食に使う食材に千葉・茨城産の野菜がリストアップされている件で、「栄養失調のほうがまし」というツイートを見かけた。放射性物質で汚染された食材を使われるという不安からだろうが、これは過剰反応だと考える。

試しに計算してみる。給食に使うすべての野菜に基準ぎりぎりの2000Bq/kgの131Iと500Bq/kgの137Csが含まれていたとする。これを毎日一人当たり100g料理に使ったとする。また、7歳児の実効線量係数は131Iが0.10μSv/Bq、137Csが0.0096μSv/Bq(放射線医学総合研究所のサイトより)とする。5月の平日は19日あるので、この時の内部被曝線量は、131Iが約0.38mSv、137Csが約9.1μSvと見積もられる。川崎市は自然放射線が多い場所ではないそうなので、自然放射線による被曝は1ヶ月間で0.1mSv程度と考えられる。

つまり、ワーストケースで自然放射線の3から4倍程度の内部被曝と考えられる。実際にはすべての野菜が基準ぎりぎりということはあり得ないし、毎日100gも千葉・茨城産の野菜を使うとは思えないので、1オーダーは内部被曝が減ると思われる。そのため、内部被曝線量はほとんど問題にはならないと考えてよいだろう。川崎市が食材の調達先を公表したのも、そのような判断に基づくものと思われる。

栄養失調の方がましだという声があったそうだが、栄養失調、もっと言えばビタミン不足でも人は死ぬ。壊血病や脚気の歴史を調べてみて欲しい。食材の調達先を変えて欲しいという要望はありうると思うが、栄養失調の方がましという反応は受け入れがたい。