日経ビジネス「原子力発電の代替エネルギーは何か」より

この記事は原子力発電の代替エネルギーについて述べたものだが、コメント欄の指摘が興味深い。

ロシア人からのヒアリングによると、チェルノブイリ原発事故の後ソ連政府は国内の原発を安全確保のため次々と停止させた結果、計画停電が頻発するようになり経済が急速に悪化していったという。事故の5年後、ソ連は国が崩壊した。GDPは約半分にまで低下し、激しい人口減少に見舞われ、国民の平均寿命は急激に短くなり、多くの国民が貧困に喘ぐようになった。

日本では仮想敵国が滅びてバンザイというスタンスを続けてきたため、ソ連の重大な失敗事例(人口減少なども含め)を全く検証することなく過ごしてきた。太陽光信仰という夢から覚めないとソ連と同様に電力不足を放置することになる。

日経ビジネス「原子力発電の代替エネルギーは何か」コメント欄より

これが本当ならソ連邦崩壊はチェルノブイリ事故が主要な誘因だということになってしまう。チェルノブイリ事故については、事故後の放射線障害については広く喧伝されているが、ソビエト連邦の電力事情、事故が経済に与えた影響、その結果としての公衆衛生事情の変化についてほとんど語られていない。脱原発を考えるならこういったことも調べないといけないと考えさせられた。しかし、こういう話はどうやって調べればよいのだろうか。

また、別の読者はコメント欄にて本文中に挙げられた各種エネルギー源の比較を下表のようにまとめている。

エネルギー源石油石炭天然ガス原子力太陽光
汎用性×
量的柔軟性×
貯蔵可搬性×
ユビキタス性×
エネルギー密度×
出力密度×
出力安定性×
環境負荷×
エネルギー安保
算出投入比率×
表 各種エネルギー源の比較

本文中の、

新規原子力発電所の代替は、省エネと天然ガスが大宗を占め、風力発電を中心に再生可能エネルギーも増加するが、補完的役割にとどまり、救世主にはなり得ないだろう。

「安くて大量で安定した」エネルギー供給がないと、現代文明は1日として維持することはできず、人類史上未曾有の大悲劇に見舞われ、人口が激減することは100%確実である。

日経ビジネス「原子力発電の代替エネルギーは何か」より

という結論には異存はないし、LNGが欠点の少ないエネルギー源であることにも異論はないが、やはりLNGの主要産出国であるロシアへの依存度が高くなるのが気になる。ドイツがロシアに首根っこを押さえられているのと同じ状況が日本にも起きそうだと言うのが憂鬱の種である。