スーパーカブは非常に燃費が良いことで知られているが、それだったら自転車はどうなんだ、という人が必ず出て来る。しかし、自転車は非常に燃費が悪い乗り物である。かつて片道4キロを8分から9分かけて自転車通勤していたことがあるが、その頃は1日に3000キロカロリー食べても太るどころか、逆に減量できてしまったくらいだ。
ちょっと試算してみよう。乱暴な計算だが、当時ママチャリに毛が生えたような27インチ、内装7段変速の自転車でトップスピードにして40〜45km/h、平均速度でも市バスよりは速い速度を出していたから、運動強度としては8メッツ*1位にはなっていたであろう。短時間でも240キロカロリー(3単位)は余分に消費していたものと思われる。3単位と言うと食パン4分の1斤位だから、1日当たり40円位の燃費ということになる。一方、スーパーカブの燃費は悪くともリッター40キロは行くであろう。往復8キロだから5分の1リッター、1日24円くらいになる。
何と、自転車の燃費はスーパーカブに大きく負けていることになってしまう。このことは自転車のエネルギー効率が非常に良いといわれているのには反するが、自転車のエンジンが人間であることから食料という形でしかエネルギーが補給できず、食料の価格が燃費になってしまうためにコスト高となってしまうからなのだろう。エネルギー効率は良くても肝心のエネルギーの価格が高い、だから結果として燃費が悪くなる、それが人間というエンジンを搭載した自転車という乗り物の特徴と考える。
*1 8メッツ:安静時の代謝を基準にしてその8倍のエネルギー消費を要する運動強度。運動強度としてはサッカーなどに匹敵する。通常普通に歩く運動強度は3メッツ、速歩や自転車は4メッツとされるが、どう考えてもそれをはるかに上回る運動強度であったと思われる。