碁盤の目の京都、将棋盤の目の札幌

市域の中心部の道路がグリッド状になっているという点では札幌と京都は共通点がないでもないが、住所については大きく違う。京都では交差点を基準に住所を定めているようで、△△通りと□□通りの交差する交差点から(東、西、南、北)に入ったところにある家は「△△□□(東入ル、西入ル、下ル、上ル)」というように表示する。これに対し、札幌では4つの道路に囲まれた領域として(南、北)n条(東、西)m丁目が定義される。その点から見れば、京都は交点に石を置く碁盤、札幌は桝目に駒を置く将棋盤に例えられる。

どっちでも同じような感じがするが、外来者の評判は京都のほうが圧倒的に良いようだ。「札幌の住所は分かりやすそうで分かりにくい。」という話も良く聞かれる。どうしてだろうか。

交差点について考えてみると、札幌の場合、ある交差点の四つ角すべてが異なる住所を持つことになる。従って、同じ交差点の信号に、

  • 南5条西12丁目
  • 南5条西11丁目
  • 南6条西11丁目
  • 南6条西12丁目

のように表示されている。これが外来者には分かりにくいようだ。

一方、「△△病院の住所は、札幌市中央区北1条西6丁目です。」と言われても、その病院が面している道路が北二条通りなのか、北一条通りなのか、西六丁目通りなのか、西五丁目通りなのかが分からないと、下手をすると四分の三周してしまって300メートル近い無駄足になりかねない。正面玄関が東西南北どっちを向いているかが分かればそんなことにならないのであるが……。

しかし、札幌方式にも良い点はある。道路に囲まれた1区画すべてが同じ住所になるので、曖昧さが残らない。

要はそれぞれのシステムを理解すれば良いことになる。札幌の町並みが「碁盤の目」ではなく「将棋盤の目」と言った方が適切なことが理解できれば問題は解決である。