「【日本よ】石原慎太郎 西欧人のずるさ」を読んで

Sankei Web 産経朝刊 【日本よ】石原慎太郎 西欧人のずるさ(04/04 05:00)にて石原慎太郎東京都知事は、

ヨーロッパを主な舞台とした冷戦は終結したが、すでに核まで保有してしまったテロ国家の北朝鮮とそれを支持する中国の存在はこの東アジアにおいて、実は冷戦時代以上の緊張を我々にもたらしている。この段にいたって、その元凶である中国にEUはヨーロッパの意思として武器の禁輸を解除しようという。これは世界が時間的空間的に狭小になった今日の時点でもはや認識不足などということではすまされぬ、卑しさという以外にない。

他人の危険、実はそれは優に我が身にも及ぶことなのに、それを無視して己の儲けのためなら他はどうなってもいいという魂胆は見え見えで、フランスなどという国は過去に中近東のある紛争の折、大統領が出向いていって平和を説いてみせたすぐその後、今度は首相が出かけていってフランス製の武器を売りこむなどという破廉恥をぬけぬけと行った国でもある。

「【日本よ】石原慎太郎 西欧人のずるさ」より

と述べていますが、この問題には石原氏が言及していない別の面があるような気がします。

中国がフランス製の武器を日本や米国に向けてくれることをEUは期待していないのでしょうか。普段から「米国(と日本)さえこの世に居なければ世界はもっと気分のいいものになるだろう。」という本音を漏らす人が少なくないヨーロッパ人(英国は除く)の深層意識から見て、ヨーロッパが中国に肩入れしたがっているのは経済的利益のためだけとは思えません。

自らが輸出する武器がアメリカと日本に対する圧力になれば、EUとしては経済的利益と合わせて一石二鳥、という意識が見え隠れしては居ないでしょうか。もちろんこんなことを公言する者は居ないでしょうから、ただの憶測ですが。

最後に石原氏はこう言います。

これでもしEUがヨーロッパからの対中国武器輸出を解禁し、間接的に日本という国を見限るというなら、日本は本気で独自の強力な兵器の開発を考えざるを得ないことにもなりそうだ。そしてその結果保有に至る最新鋭の兵器は当然、一番有効な安全保障の手段の一つとして輸出されるべきだろう。かつて三木武夫という徒(いたずら)に観念的で、それ故にか妙にもてはやされた総理大臣が、国家の安全を棄損しかねぬ愚挙としていかなる国へも武器の輸出を自ら禁止してしまったが、そうした迷妄もこれを機会に払拭されることになるだろう。

天は自ら助くる者をのみ助く、というこの世の原理をヨーロッパが改めて教えてくれなくとも、我々は自らの運命を自分で切り開くくらいの覚悟は出来るはずである。

「【日本よ】石原慎太郎 西欧人のずるさ」より

私自身はこの点については非常に悲観的です。「自らの運命を自分で切り開くくらいの覚悟」が今の日本人にできるのでしょうか。