暦と季節感

良く旧暦の方が季節感があって良い、と言う人にお目にかかるのだが、太陰太陽暦である旧暦は一か月の定義が月の朔望周期なので、冬至、春分、夏至、秋分を含む月でさえ日付が30日くらいずれてしまう可能性がある。同じ11月1日が冬至になったり冬至の29日前になったりしたのでは、季節感も何もあったものではない*1。まして、閏月の影響などで2か月近く季節がずれたら、目も当てられない。伝統的な季節感に乗っ取っていると言うだけで、季節現象の最大の源が太陽の位置である以上、太陽暦の方が季節感に忠実になりやすいに決まっているのだ。

しかし、現行の暦の1月1日の位置はローマ帝国の事情で人為的に定められたものなので、確かに季節感に合わない。いっそのこと、立春を年の始めにした太陽暦があれば季節感の問題は解決しそうなものである。実は、そのような暦は中国でも日本でも、農業のために使われていたそうである。二十四節気の節から節までを月の区切りにしているのである。もしかすると子平*2などに親しんでいれば、一年のはじまりは寅月、以下卯月、辰月、巳月、午月、未月、申月、酉月、戌月、亥月、子月、丑月の順になる暦(まさに十二支)に親しんでいるかもしれないが、この干支暦は節から節までを月の区切りにした太陽暦である。

だが、それでもしっくり来ない感じがする。立秋などと言っても秋のような感じはしない、季節はまだまだ夏じゃないか、と思っても不思議ではない。だが、二十四節気のうち、八つ(立春、春分、立夏、夏至、立秋、秋分、立冬、冬至)は太陽の位置を直接表現したものなので、気温ではなく太陽光線で季節を感じるようにすれば解決する。立春なら光の春を感じるようにするのである。私は北海道在住時からそのようにして来た。確かに、太陽光線であれば厳冬の2月に春の兆しを感じることが出来るのである。

それでも駄目なら、太陽高度と気温の変化のタイムラグが少ない内陸性気候の所に移住すれば良い。二十四節気が生まれた中国大陸内部の黄河流域なら、おそらく違和感は最小限に収まるであろう。中国で生まれた二十四節気を日本で使う以上、多少のずれは仕方ないのだ。


*1 ただし、中秋の名月が必ず8月15日となるように、月の満ち欠けによる現象は良くカバーできると言う利点もある

*2 子平:日本で言う所の四柱推命。

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