真実、嘘、フィクション

福井で人間ドック学会があったときに、誰だったか覚えていないのですが、「真実、嘘、フィクション」という内容の講演をした作家が居ました。

確かに、フィクションは真実ではありませんが、嘘とは違うものです。

設例:あなたが町を歩いていると、よく知った人が向こうからやってきました。しかし、その人はどうも顔色が悪いようです。あなたの経験から見て、彼(彼女)は胃癌であるように思われました(どうしてだ、という突っ込みは却下)。あなたはその人にどういう風に対応しますか?

真実を述べる
「君、ずいぶん顔色が悪いね。きっと癌だよ。すぐ病院で見てもらうことだね。」
嘘を吐く
「いやあ、まだまだ元気。大丈夫。調子が悪いって? ドンマイ、ドンマイ。」
フィクションを述べる
「僕の知り合いがちょうど今の君のような感じでね、病院に行ってみてもらったら、胃癌だったんだ。手術してもらって今は元気にやっているけどね。」

恋愛や結婚生活って、真実でも嘘でもなく、フィクションを生きることのような気がします。真実ばかりでは、老化とともに夢も希望も無い結果になるでしょうし、嘘吐きでは誠意がありません。

しかし、愛する人のために虚構を演じることなんか、私には出来そうもありません。……だから恋愛が苦手なんですけれど。